さて、他社への移行を検討し始めたはいいが当然要求する条件はある。念頭に置いたのは以下の項目:
- 野鳥撮影に向いてること。動機が動機だけにこれは外せない。AF、手ぶれ補正などの性能機能。また徒歩や自転車で移動しながらの撮影スタイルであるから重量級のシステムは避ける
- モダンなカメラシステムであること。ペンタックスのデジタル一眼レフはKマウントの過去資産を活かす仕様が逆に制約となってる。これから移行するのだから足かせとなる過去資産を気にしない新しいカメラシステムの方がいい
- 手頃な価格。お高いフラッグシップや大三元レンズなどに手が届くはずもなく。世はフルサイズが主流になってきてるが重量とあわせてちょっと手が出ない
野鳥撮影は超望遠がほぼ必須な一方で、移動しながらの撮影スタイルではなるべく軽量であって欲しくもあり、二律背反の要求ながらバランスを取るなら撮像フォーマットはフルサイズでなくAPS-Cやm4/3が選択肢になる。いかにボディを小型軽量化しても、撮像フォーマットが大きければ光学系のメインであるレンズは必然的に大型重量化する。どれだけ技術が進んでも物理法則は曲げられない。
野鳥撮影に向いているからといって、レガシーなシステムの一眼レフが急速に衰退しているのは誰の目にも明らかで、先のないものを選ぶ理由はない。対照的に飛躍的な性能機能の向上がみられるミラーレスを選ぶべき。
そして、写真機材にじゃぶじゃぶお金かけられるならそもそもペンタックス使ってねーよ、ってのはともかくとして高価な機材をスナック感覚で持ち出して使えるような図太い神経は持ち合わせてない。天気の良い日に散歩がてら持ち出せるくらいの機材が肩肘張ってなくて俺に合ってると思う。
で、これら条件を満たすものはあまり多くない。ニコンは利益率を考えてかボディもレンズもフルサイズメインのラインナップで鳥撮りに向いたAPS-Cシステムがない。パナソニックはAFがコントラスト検出式のみで像面位相差式を載せてない。富士フイルムは単純に市場在庫がない。シグマは、まあ、なんだ、うん……。残るはキヤノン、ソニー、オリンパス/OM SYSTEMの3社。この中から現行機種、中古機種あわせて延々と検討していた。
しかしここで突如カメラの悪魔が囁いた。「もう面倒だから望遠番長のCOOLPIX P950でよくね?」と。思い返してもまさに悪魔が囁いたとしか言いようがないのだが、重量1kgで35mm判換算2000mm相当の超々望遠は鳥撮りにとって確かに魅力ではあるのだ。正直いまでも欲しい気持ちはある。11月のジャパン・バード・フェスティバルでは実機を屋外でいじる機会もあり、「これは使い方次第、割り切り次第ではアリなのでは?」との考えがこれまでの検討をちゃぶ台返ししようと思考を乱すようになる。
ザ・抜けペン計画 現代編 へ続く